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あの夏、秘密の快楽(3) 願望叶う

「男なんだよ」

日曜日の昼下がり、おなかが空いたので台所に降りていくと母親が妹にそう言っていた。

「え!本当。でも、そう言われてみれば、ちょっとそうかも」
「昔から有名なのよ。ゆうちゃんって言ってね。
野球するくらいわんぱくで、明るい子だったのよ。それが、まさかあんなになっちゃうとわね」

僕はなんとなく、あの「おばさん」のことを言っている気がしたが、知らないふりをして聞いてみた。

「なんの話?」
「あんたはいいのよ、知らないで」

母は洗い物を続けながらそっけなく言った。

「言った方がいいんじゃない。お兄ちゃん、年上好きみたいだから」

妹はちょっと小馬鹿気味に言った。

「年上なんか好きじゃない。それに受験だから、そういうの考えないし」

僕は若干動揺しながら、そう答えた。妹は鋭いのだ。

「○○団地に住んでるおばさん知ってる?
あの人、男なんだって。結構、綺麗だからお兄ちゃん気を付けてね」
「余計なこと言わないでいいの。もう」

母は妹をたしなめるように言った。

な、なんということだ。
僕は驚きよりも、自分の願望が叶った気がした。
込み上げてくる感動が押し寄せ、この喜びをどう表現していいか分からなかった。

僕はその気持ちと裏腹に母と妹にばれてはいけないと
「男なんでしょ。関係ないじゃん」
と言って、テーブルにあったおにぎりを取って部屋に戻った。


つづく


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